鏡を見ているようだ

出会う人は鏡である。
とはよく言ったものだと思う。
クラブで出会う人も、自分に見合った人ばかりだったと、振り返ると思える。
キャンプに行く予定があるときに、アウトドア大好きな人に出会ったり、同業者で明日の現場が同じ人に会ったり。

そんなタイミング的なことでも鏡を感じた。
後先考えずに酒を飲み過ぎて体調が悪くなった時期があったが、そのときに出会った男も後先考えられない人だった。
見た目についても、自分がカジュアルな洋服のときは、声をかけてくるのはデニムの男で、こちらがドレッシーならば相手はジャケットスタイルだった。
一期一会だからこそ、出会う人は鏡である。
週末といえばクラブだったのに、あるときからパタッと行かなくなったのは25歳のときのこと。
よく当たる占い師に今後のことを見てもらいにいったときに、「お酒、夜遊びをやめなさい」と開口一番言われたのがきっかけだ。
名前と生年月日しか告げていないのに驚いた。
今、よく会っている男がいるね?その男はあんたのことなんて大事にしてくれないよ。
あんたが相手を大事にしていないからね。
と言われ、心当たりがあってぐさっときた。
今日は家に帰る、と決めている日に誘われても飲みに行かない。
これだけを守って、と言われた。
不思議と、それからは仕事も恋愛も何もかもが上手くいった。
同性の友達からも、呼ばれればすぐにクラブで集合していたが、その生活を一ヶ月辞めただけなのに、忙しくて週末も遊びどころではなくなっていった。
それからは自堕落な生活を送る人とは出会わなくなっていき、生き生きと暮らしている人とばかり顔を合わせるから、「鏡」の効果で自分が変わっていったのかもしれない。
酒にまみれたクラブでの遊びも充分楽しかった。
もう一生分の酒を飲んだと思うから悔いは無い。

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