最初で最後の接待の思い出
私は以前、営業として勤めていました。
営業さんによくあるのが、接待です。
時代的に少なくなっていたとは思いますが、三年間営業部にいた私も、一回だけ接待をしました。
まだ新入社員だった私は先輩のお手伝いでそのお客様を一緒に受け持っていました。
仲の良いお客様でとても私を可愛がってくれるおじいさんでした。
接待をするとなった時、何が食べたい?と反対に私が聞かれてびっくりしたのを覚えています。
結局その時は私の希望通りの料理を食べられることになりました。
お酒を飲めない私はずっとお酌をしていて、お酒は一滴も飲まずにその日の接待は終わりました。
帰り道、私とお客様は電車の方向が同じで、特急を使って帰る電車でした。
その日はなんとお客様が特急券をおごってくれました。
申し訳ないと思いましたが、早く帰れる嬉しさもありお客様と特急に乗りました。
そこで私は見事に貧血になってしまったのです。
特急券を買ってもらったし、お客様だから最後まで話をしないと、これも仕事のうちだからと頑張っていましたが、結局耐え切れずお客様に看病されてしまうという大失態を犯しました。
本当に申し訳なく、心苦しかったです。
翌日復活した私はお客様に電話で謝りを入れました。
元気になって良かったよと温かい声をかけていただき、この会社は今後もしっかりと担当していこうと改めて思いました。
結局私はその後すぐに部署異動になってしまい、お客様と接する機会もなく、接待をすることもありませんでした。
人生、最初で最後の接待の仕事が、結局自分が看病されて終わったというのはなんとも情けない思い出になっています。